[官能小説] 熟女の園 空と海と親子 ~プロローグ、空母艦長の母と戦闘機パイロットの息子の再開~
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空と海と親子 ~プロローグ、空母艦長の母と戦闘機パイロットの息子の再開~

この世界とは少し違う別の世界。長い武士の時代を終えて国際社会の荒波の中で飛躍的に成長した日本。その日本にいま大きな試練を迎えようとしていた。
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導入部につき非エロです。

 1941年、商和16年。
 我々帝国海軍艦隊は太平洋において日々厳しい訓練に明け暮れていました。アジア最強と謳われる帝国海軍ですがだれもが険しい顔をしています。明治維新以降国を拡大してきた日本ですが世界を支配していた欧米の列強各国からは快く思われていません。そしてついに対立は深まり武力衝突が避けられなくなっていました。





「戦闘機の発艦に時間がかかりすぎだ。これでは艦隊を守ることなどできんぞ。もう一度最初からだ」

「はっ!艦長」

 私は加賀千鶴子海軍大佐。空母加賀の艦長を務めています。
 明治維新で女が銃を持って戦ったことから女の社会地位は大きく向上しました。明治以降日本の海軍では女の活躍がめざましく高級将校にも当たり前のようにいます。女ならではの繊細さが船を動かす能力に向いているといわれています。その中でも空母の艦長は伝統的に女が努めることになっており女の海軍将校にとって一つの誉れといわれています。

「加賀君は相変わらず部下に厳しいな。ほどほどにしないと皆戦が始まる前に倒れてしまうよ」

「お見苦しいところを見せてしまいました。山本長官。ですが我々の肩に艦隊、いえ日本の明日がかかっていると思うと手を抜くわけにはいきません」

「加賀君のような女性が艦長を務めてくれて頼もしいよ。今日は君に会わせたい人がいるんだ」

 連合艦隊司令長官の後ろには飛行服姿の若い青年が立っていました。凛々しい顔つきで私の前に立つと手を額の横に当てて敬礼をしました。

「加賀零児海軍少尉であります。本日より空母加賀、零型艦上戦闘機搭乗員として着任しました。よろしくお願いします」

 私はその青年を見て少し表情が緩んでしまいそうでした。加賀零児は私の息子なのです。海軍に入隊した零児は航空隊で搭乗員としての教育を受けていました。今年20歳を迎えた零児は実戦部隊に配備となったのです。

「加賀少尉の着任を歓迎します。帝国のためにそに存分に真価を発揮なさい」

 親子とはいえ任務中なので部下と上官という立場をわきまえて艦長として息子に接しました。返礼をすると息子は背筋を一段と伸ばしました。


 その日の夜は零児を艦長室に招いて夕食をとりました。
 昼間とは違い白い詰襟の軍服で零児は来室しました。

「艦長にこのように食事に呼んでもらうなどとても光栄に思っております」

「そんなに硬くならないで。今は二人きりなんだから楽にしなさい。零児」

「は、はい。母上。」

 この日は私たちにとって久しぶりの再会でした。私同様海軍軍人であった夫は8年前に事故で亡くなってしまい、零児は乳母に預けたままにして私は艦隊勤務を続けていました。手紙でやりとりをして年に一度か二度会う程度でした。
 食事をしながら目の前の零児に目をやってみるとすっかり成長した姿に見入ってしまいました。

「どうかされましたか?母上」

「いえ、すっかり大きくなったわね。加賀家に恥じぬ軍人として任務を果たしなさい。戦闘機の操縦は十年に一人の逸材だと聞いているわ」

「ありがとうございます。母上の船に乗ることができて大変うれしいです。空母指揮をさせれば海軍では母上の右に出る者はいないと聞いています。母上の下でなら存分に戦えます」

 少し緊張が解れてお互いに笑みが零れました。それから食事をしながらこれまでのことについてお互い語り合いました。
 軍での地位というのをこだわり続けた私は息子ときちんと向き合ってきませんでした。亡き夫の分まで使命を果たして加賀家のためにということばかり考えて我が子を放置してきたのです。母親失格だと思います。そんな罪悪感を埋めたいという気持ちも少なからずありました。

「母上、日本は本当に戦争をはじめるのでしょうか?」

 食事を終えた後、二人でコーヒーを飲んでいると唐突に零児はそう切り出しました。日本は世界から孤立している現在、もはや欧米との対決が避けられないのは明白な事実です。世論もそれを望んで国会でも開戦のための準備が進んでいることは日本人なら誰もが知っていることです。

「零児、軍人なら余計なことを考えてはいけません。すべては陛下がお考えになることです」

「軍人として覚悟を決めたいからこそ聞いているのです。本当はもうどうなるか決まっているのではないですか?」

 私は答えに困りました。零児の問いの答えは知っています。ですがそれは軍機に触れる内容ですから簡単にしゃべるわけにはいきません。
 私がだまっていると真剣なまなざしでじっと零児は私の顔を見つめていました。国を思う彼の真摯な気持ちに私の覚悟も揺らいでしまいました。

「12月8日」

「はい?」

「日本時間の12月8日、米英に宣戦布告して我が艦隊はハワイ基地へ奇襲爆撃を仕掛けます」

 かん口令の敷かれている重要機密である開戦情報を零児に教えてしまいました。もし情報を漏らしたことが軍部に知られれば私は逮捕されてしまうでしょう。もちろんそれを聞いた零児だってただでは済みません。私たちは運命共同体となったのです。
零児は生唾を飲み込んで瞬きをすることさえ忘れて私を見つめていました。

「では我々航空隊が戦争の火ぶたを切るということになるのですね」

「ええ、そうよ」

 今更母親面できる立場ではありませんがいざ息子が戦うのだと思うととても悲痛な気持ちでした。

「零児、あなたには開戦前に異動命令が出るよう手筈を整えますから安心なさい」

 実戦である以上命の保証はありません。それは軍人の定めだとわかっていますが、息子には無事でいてほしいという親としての気持ちのほうが勝ってしまいました。後方の飛行場勤務に就いてもらおうと考えていました。私の持てる力を駆使すればそれも無理ではないはずです。
零児は眼を見開いて前のめりになって食らいついてきました。

「そんな気遣い無用です。私に任せてください。いえ、ぜひ奇襲爆撃を私にやらせてください。皇国のために戦うことこそ日本男児の証、実戦前に後方にまわされては逃げたと人々から後ろ指を指されてしまいます。どうか名誉ある任務を私に任せてください」

「零児・・・・でもこれは艦長としての命令です。後方に異動してもらいます」

「母上!」

 零児は立ち上がり私を睨みつけました。眼には憂国の炎が見えて零児は一人の軍人として戦う名誉を求めているのです。

「出撃させて貰えないのでしたら腹を切ります・・・」

 その言葉に私は折れるしかありませんでした。


 翌日から零児は厳しい訓練をはじめました。鋭い目つきで零型戦闘機を駆る姿はまさに侍でした。だれよりも努力し、機体の整備にも付き合う零児はすぐに熟練搭乗員からも一目置かれる存在となって零型戦闘機の操縦なら加賀ではだれにも負けないくらい成長しました。

 私たちが訓練に励んでいる間にさらに情勢は悪化していきました。最後通牒を突きつけてきた米国、それを受けて過激な発言をする政府・・・もはや平和的な解決を見出すことなどできそうにはありません。裏では粛々と開戦の準備が進められていました。


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