黒く染められて ~戦地から戻った息子が見た母の姿~
戦争が終結し、絶望的な戦いから私は解放された。私は将校として南方戦線で小隊を率いていた。しかしそれは戦いと呼べるほどのものではなく圧倒的な敵を前にしてただ耐えて生き延びることだけで必死だった。それももう過去の話だ。大本営の停戦命令を受けて連合軍へと投降して日本への帰路に就いた。
帰国して真っ先に故郷の母に会いたいと思っていた。父が亡くなり私を育ててくれた母には感謝してもしきれない。私が出征してからは一人きりになってさぞ心配していることだろう。戦況が悪化してからはろくに手紙を出すことさえできていない。早く母に無事だということを知らせて安心してもらいたかった。
帰国して真っ先に故郷の母に会いたいと思っていた。父が亡くなり私を育ててくれた母には感謝してもしきれない。私が出征してからは一人きりになってさぞ心配していることだろう。戦況が悪化してからはろくに手紙を出すことさえできていない。早く母に無事だということを知らせて安心してもらいたかった。